ヴィーガンとしての日常~栄養素篇~
はじめに
について、わたしの日々の実践をご紹介したいと思います。上記に少しでも興味がございましたら、ぜひ気になる箇所までお読みいただけたら嬉しいです。
1.現代の食事摂取基準
食事摂取基準については、「日本人の食事摂取基準(厚生労働省)」が、現在においては参考になるものと思われます。これは5年ごとに更新され、ちょうど今年が更新年となります。
この日本人の食事摂取基準とは、大まかに言うとこのようなものとされております。
日本人の食事摂取基準では、国民の健康維持と増進、エネルギーや栄養素の欠乏の予防、生活習慣病の予防、過剰摂取による健康障害の予防を目的としています。
特に、推定エネルギー必要量、推定平均必要量、推奨量、目安量、太陽上限量、目標量の6つの指標を設けていることが特徴です。
引用元:一般社団法人FLAネットワーク協会編「公式食生活アドバイザー2級テキスト&問題集」P64
要するに、健康で文化的に生きて行くために理想的な栄養素の摂取量についての指標といったところでしょう。
元となったページでは色々とデータや見解がまとめられた論文形式となっているので、必要な栄養素をまとめたサイトさんのまとめを引用させていただきます。
なお、こちらは30~49歳の食事摂取基準データとなっております。
引用元:https://japanese-food.net/top-page/meals-intake-standard-table-2025/dietary-intake-standard30-49-2025/
栄養素 男性 女性 エネルギー
(身体活動レベル低)2350 kcal 1750 kcal エネルギー
(身体活動レベル普)2750 kcal 2050 kcal エネルギー
(身体活動レベル高)3150 kcal 2350 kcal たんぱく質
(推奨量)65 g 50 g 脂質
(目標量)20-30 % 20-30 % 飽和脂肪酸
(目安量)7 %以下 7 %以下 n-6系脂肪酸
(目安量)11 g 9 g n-3系脂肪酸
(目安量)2.2 g 1.7 g 炭水化物
(目安量)50-65 % 50-65 % 食物繊維
(目標量)22 g以上 18 g以上 ビタミンA
(推奨量)900 μg 700 μg ビタミンD
(目安量)9.0 μg 9.0 μg ビタミンE
(目安量)6.5 mg 6.0 mg ビタミンK
(目安量)150 μg 150 μg ビタミンB1
(推奨量)1.2 mg 0.9 mg ビタミンB2
(推奨量)1.7 mg 1.2 mg ビタミンB6
(推奨量)1.5 mg 1.2 mg ビタミンB12
(目安量)4.0 μg 4.0 μg ビタミンC
(推奨量)100 mg 100 mg ナイアシン
(推奨量)16 mg 12 mg 葉酸
(推奨量)240 μg 240 μg パントテン酸
(目安量)6 mg 5 mg ビオチン
(目安量)50 μg 50 μg ナトリウム
食塩相当量(目標量)7.5 g未満 6.5 g未満 カリウム
(目安量)2500 mg 2000 mg カルシウム
(推奨量)750 mg 650 mg マグネシウム
(推奨量)380 mg 290 mg リン
(目安量)1000 mg 800 mg 鉄
(推奨量)7.5 mg 6.0 mg 亜鉛
(推奨量)9.5 mg 8.0 mg 銅
(推奨量)0.9 mg 0.7 mg マンガン
(目安量)3.5 mg 3.0 mg ヨウ素
(推奨量)100 μg 100 μg セレン
(推奨量)25 μg 20 μg クロム
(目安量)10 μg 10 μg モリブデン
(推奨量)25 μg 20 μg
それぞれ用語の簡単な解説をすると、
- 推奨量:ほとんどの人が不足しないと考えられる量
- 目安量:科学的根拠が不十分な栄養素に関する参照量
- 目標量:生活習慣病予防などを目的とした望ましい範囲
となります。
また、身体活動レベルについては、
- 低:デスクワーク中心で、通勤や買い物以外はほとんど体を動かさない生活。
- 中:通勤や家事、軽い運動(週に数回のウォーキングなど)をしている人。一般的な生活スタイル。
- 高:体を使う仕事や、習慣的な運動(週に何度もジム通い・スポーツなど)を行っている人。
となります。
2.ヴィーガンとして各栄養素をどう摂っているか
さて、では本題に入ります。ヴィーガンであるわたしは、この食事摂取基準を満たすだけの食生活を送れているのか、ということです。
ここでは、各栄養素の主要摂取元と、その含有量、そして基準を満たす摂取難易度を主観的に評価していきたいと思います。
摂取難易度の評価基準としては、
無理なく食卓に取り込みやすいか。
他の栄養素とのバランスがとりやすいか。
特定の食材に依存していないか。
を基準に判断いたします。
なお、栄養素の含有量は、女子栄養大学出版部「八訂 食品成分表2024」を参考に算出しております。
3大栄養素
タンパク質
- 豆腐(12.25g/2分の1パック)
- 納豆(7.4g/1パック)×2回
- 八丁味噌(5.88/30g)
- 油揚げ(5.0g/2分の1枚)
- ひよこ豆(2.0g/10g)
- ブロッコリー(3.5g/50g)
- 大豆水煮(3.0g/25g)
- 豆乳(5.0g/100ml)
- 豆乳ヨーグルト(2.6g/70g)
- オートミール(3.8g/30g)
- 十六穀米(4.3g/150g)×2回
- ほか
一日の摂取量:約66.43g
摂取難易度:★☆☆☆☆
ということで最初は栄養素の中でも屈指の重要度を誇るたんぱく質。タンパク質と言えば動物性食材である食肉や鶏卵などから多くとれるので植物性オンリーだと十分なの?という懸念もありましたが、思った以上にしっかり摂れました。植物性食材における主要摂取元は豆類ですが、穀類にも結構含まれているのですよね、タンパク質は。だからそもそもとして米にも結構入っているし、十六穀米にすればより多くとれるし後述する食物繊維も豊富なので、無理なくバランスよくとることができております。見ていてやっぱり強いなと思ったのは納豆。1パックで7gちょい取れるのは大きいですね。あまり食べすぎると過剰摂取における問題とかありそうですが(まあこれは納豆に限らないんですけど)、発酵により色々とバリエーション豊富に取れるのもいいところですね。豆腐とか納豆とか味噌とかで。
脂質(左から脂質、飽和脂肪酸、n-6系脂肪酸、n-3系脂肪酸)
- 豆腐(8.5g,1.4g,0.5g,4.0g/2分の1丁)
- 納豆(4.0g,0.5g,0.2g,2.0g/1パック)×2回
- 油揚げ(約7.0g,0.7g,0.4g,2.26g/2分の1枚)
- 豆乳(2.9g,0.4g,0.2g,1.3g/100ml)
- 豆乳ヨーグルト(1.7g,0.2g/70g)※n-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸は記載なしのため不明
- アーモンド(おやつ)(3.73g,0.3g,0g,0.9g/6粒=7.2g)
- 菜種油(圧搾法)(30g,2.1g,2.3g,5.6g/大匙2)
- ほか(合計約34.0g(過去に集計したデータから))
一日の摂取量:57.83g以上61.0g近く(脂質)、5.6g以上(飽和脂肪酸)、3.6g以上(n-3系脂肪酸)、16.06g以上(n-6系脂肪酸)
摂取難易度:★★☆☆☆
脂質の食事摂取基準における20~30%というのは、総エネルギーにおける比率という意味になります。さらにそこから脂質1gにおけるエネルギー量9kcalでもって計算することになるので、脂質の目標上限摂取量の計算式としては、以下のようになります。
総エネルギー×30%÷9=脂質摂取基準(g)
つまりは、大体68g~91gということになります。飽和脂肪酸も同じように計算します。飽和脂肪酸は7%以下なので、だいたい15g~21gほどになります。
脂質は、体内においては細胞膜などの構成成分や血液成分となり、ホルモンづくりに欠かせない人体の根幹をなす成分の構成要素となる非常に重要な栄養素なので、これもとり過ぎも制限しすぎもよくありませんね。ヴィーガンにおいてはタンパク質の主要摂取元が大抵脂質もそれなり以上に含まれているので、基本的に不足することはあまりないと言っていいです。
それ以上に大きいのは、それらの摂取元のほとんどが摂りすぎると危険(LDLコレステロールの増加元となる)な飽和脂肪酸の含有量が控えめで、逆に脂質の中では積極的に摂っておきたい不飽和脂肪酸であるn-6系脂肪酸を豊富に含んでいることです。n-3系は、菜種油以外は控えめですが、ぶっちゃけその菜種油でしっかり摂れるのでこの辺もバランスよくとれるのが大きいです。また、最近とれていませんが、植物性食材においてn-3系脂肪酸を多く含む食材としては胡桃があります。胡桃を1粒3.7gとすると、約0.3gのn-3系脂肪酸が含まれています。上に上げた食材が1食分とかでやっと到達するレベルのn-3系脂肪酸を、クルミは一粒で摂ることができるのです。
唯一の懸念点は、逆に飽和脂肪酸が少なすぎるので、健康診断においてはHDLコレステロール以外のコレステロール値が低くなりがち、ということですね。コレステロール値の総量は基準値内なのでコレステロール不足による血管の脆弱化などはない=健康上の問題はそこまで考えにくいとは思いますが、健康診断で全部正常値、を目指すのはヴィーガンにとっては結構険しい道かもしれません。
炭水化物(糖質、食物繊維)
- 十六穀米(51.82g,2.5g/150g)×2回
- 里芋(8.1g,1.8g/2個=78g)
- ごぼう(2.1g,1.1g/20g)
- 大根(0.5g,0.3g/20g)
- 大根の葉(0.1g,0.2g/5g)
- 小松菜(0.2g,0.4g/20g)
- オートミール(17.4g,2.8g/30g)
- 米粉パン(39.6g,0.6g/米粉44g,含蜜糖4g,菜種油3g,自然海塩少々)
- オーツミルク(12.1g,1.7g/170ml)
- ひじき(0.2g,2.6g/乾燥5g)
- わかめと寒天サラダ(0.8g,3.1g/乾燥4g)
- めかぶ(0g,1.7g/50g)
- おくら(0.8g,2.1g/4本=48g)
- ブロッコリー(1.2g,2.2g/50g
- まいたけ(0.7g,0.9g/20g)
- きくらげ(0.9g,2.9g/乾燥5g)
- 納豆(1.9g,3.8g/1パック=40g)×2回
- 八丁味噌(3.2g,2.0g/30g)
- りんご(7.6g,0.9g/4分の1個=62.5g)
- ゴールドキウイ(5.4g,0.6g/2分の1個=40g)
一日の摂取量:208.3g(糖質)、40.3g(食物繊維)
摂取難易度:★☆☆☆☆
そして炭水化物。栄養素の中では最も多く含まれるものですね。人間が活動するうえでのエネルギー源としては最も即効性があるもので摂りすぎると脂肪として貯蔵されますが、不足するとそもそも身体が動かないのでやっぱりバランスが必要なものだと思います。これも脂質同様総エネルギーのパーセンテージで目安量が設定されているので、脂質の時と同様の計算式でg換算していきます。炭水化物1g当たりのエネルギーは4kcalなのでそれをもとに。
総エネルギー×65%÷4=糖質摂取基準(g)
結果は、333.1~446.9gですね。こうしてみると一見不足しているようにも見えますが、わたしは普段日曜に作ったヴィーガンスイーツを間食で毎日食べているのでその分加算したら近づくと思います。どっちかというと食物繊維を摂り過ぎているように思いますね。まあ今のところ腸壁が荒れてるとかゆるゆるになっているとかはないので今のところは大丈夫だと思いますが。ヴィーガンでスーパーで手に入る食材で食生活をすると、食物繊維の不足はあまり気にならないかもですね。逆に摂り過ぎに注意する必要があるかもしれません。あとは糖質不足を防ぐために間食としてドライフルーツやナッツ類を取り入れるのが良いように思えてきました。
さて、本来であれば残りの栄養素もやりたかったのですが思った以上に長くなってしまったので、まずはこちらの三大栄養素を紹介しまして、残りは別記事にてご紹介させて頂けたらと思います。
もしヴィーガン生活で栄養素大丈夫?ということに興味のある方がいらっしゃりましたら、こちらやこれ以降にお出しする記事が参考になれば幸いです。
